VMware 担当者コラム
VMware・データセンター仮想化
vCenter Serverのファイルベースバックアップとリストアの手順 Part2
皆さま、こんにちは。
VMware担当の河野です。
前回までのコラムでvCenter Serverの標準機能であるファイルベースバックアップを使用して、バックアップを取るところまでご紹介しました。
今回は、バックアップしたデータを用いてリストアする手順をご紹介いたします。
前回のコラムを見ていない方はvCenter Serverのファイルベースバックアップとリストアの手順 Part1をご覧ください。
■検証イメージ
vCenter Serverのリストアは、通常の構築同様にvCenter Server Appliance GUIインストーラを用いて行うことができます。リストアの設定はステージ1と2に分けて行いますが、それぞれどんな動きをするのか図にしてみました。
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ステージ1
ステージ1ではリストア先のホストにバックアップデータが適用されていない新規のvCenter Serverをデプロイします。なお、本検証はvCenter Serverに障害が発生したことを想定し、バックアップ元と同じIPアドレスを割り当てます。
※踏み台VMからインストーラを起動していますが、環境にアクセスできれば手元の端末から起動しても問題ありません。 -
ステージ2
ステージ2では、バックアップデータをステージ1でデプロイしたvCenter Serverにインポートしリストアを完了させます。
■リストアの手順
それでは、リストアの手順をご紹介します。
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vCenter Server Appliance GUIインストーラを起動する
vCenter Server Appliance GUIインストーラを起動します。vCenter Server Appliance GUIインストーラは、vCenter Server ApplianceのISOイメージ内にある(vcsa-ui-installer/win32/installer.exe)から起動が可能です。
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リストアを選択する
installer.exeが立ち上がると以下のような画面が出てきます。vCenter Serverの構築を行ったことがある方にとっては見慣れた画面ですね!
一番右の「リストア」をクリックし、リストアの設定画面に進みます。 -
ステージ1<1 概要>
まずはステージ1の設定を行います。前述したとおり、ステージ1ではリストア先のホストにバックアップファイルが適用されていない新規のvCenter Serverをデプロイします。「次へ」をクリックし先に進みます。
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ステージ1<2 エンドユーザー利用許諾契約書>
利用許諾契約書をよく読み「利用許諾契約書の条項に同意します。」にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。
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ステージ1<3 バックアップの詳細を入力>
バックアップ先のパスと資格情報を入力します。バックアップ先のパスは(<プロトコル>://<サーバーのIPアドレス or ホスト名>)のように入力し「次へ」をクリックします。
検証では、FTPサーバー(172.22.2.183)へバックアップを行いましたので、以下画面のように入力しました。(※パス末尾のftphomeは今回の検証用に用意したフォルダ名です。)FTPサーバーに接続すると以下のような画面が出るので、backup-metadata.jsonが格納されているバックアップフォルダを指定し「選択」をクリックします。つまり、指定するのは名前が”S_”もしくは”M_”で始まるフォルダですね!
「場所またはIPアドレス/ホスト名」に自動でバックアップフォルダへのパスが入力されたことを確認し、「次へ」をクリックします。
※注意ポイント
vCenter Server Appliance GUIインストーラとバックアップデータのバージョンが異なる場合はここで以下のエラーが出ます。同様のエラーが出た方はインストーラのバージョンを確認してください。 -
ステージ1<4 バックアップ情報の確認>
先ほど指定したバックアップ情報の確認を行います。問題なければ「次へ」をクリックします。
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ステージ1<5 アプライアンスのデプロイターゲット>
新規vCenterをデプロイするホストの情報を入力し、「次へ」をクリックします。
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ステージ1<6 ターゲットアプライアンス仮想マシンの設定>
リストアするvCenter Serverの仮想マシン名とrootパスワードを設定し「次へ」をクリックします。今回の検証では仮想マシン名を「vCenter Server Appliance Restore」としました。
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ステージ1<7 デプロイサイズの選択>
vCenter Serverのデプロイサイズを入力し「次へ」をクリックします。リストア先の環境に合ったサイズを選択してください。今回は検証なので極小を選択しています。
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ステージ1<8 データストアの選択>
vCenter Serverをデプロイするデータストアを指定し「次へ」をクリックします。
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ステージ1<9 ネットワークの設定>
リストアするvCenter Serverのネットワーク設定を行い「次へ」をクリックします。デフォルトではバックアップを取った当時のネットワーク情報が入ります。今回はvCenter Serverの障害を想定したリストアなので、バックアップを取ったvCenter Serverと同じIPアドレスを割り当てます。
※注意ポイント
同じIPアドレスを割り当てたVMがリストア先の環境でパワーオンしている場合、以下のような警告が出る場合があります。予期せぬ不具合を避けるため、検証の場合でもあらかじめ元のvCenter Serverをパワーオフするか、別のIPアドレスを割り当てるようにして下さい。(別のIPアドレスを割り当てた場合はDNSの登録を忘れずに!) -
ステージ1<10 ステージ1の設定の確認>
ステージ1の設定内容を確認し、「完了」をクリックします。
デプロイが始まりますので、完了まで待ちます。
以下のような画面になればデプロイ完了です。「続行」をクリックして先に進みます。
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ステージ2<1 概要>
ここからはステージ2です。前述した通り、ステージ2ではステップ1でデプロイしたvCenter Serverにバックアップデータをインポートします。「次へ」をクリックし設定画面に進みます。
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ステージ2<2 バックアップの詳細>
バックアップデータの確認画面です。「保存場所」がステージ1で選択したバックアップデータが保存されているフォルダへのパスになっていることを確認し「次へ」をクリックします。
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ステージ2<3 設定の確認>
ステージ2の設定項目を確認し「終了」をクリックします。(赤△の文を読むとIPがバッティングしているVMを自動でパワーオフしてくれそうですが、そうではありませんので手動で停止する必要があります。)
以下の画面になればリストアは完了です。
最後にvCenter Server (検証では172.22.2.101)へアクセスできることを確認して、リストアの作業は終了です。
■リストアの確認
ここからはvCenter Serverが正常にリストアされているかの確認を行います。前回のコラムで確認したリストア前の設定項目は以下の4つです。
・有効化したvSphere HAの設定
・登録されているホストと仮想マシン(ホスト2台、仮想マシン16台)
・SSOの設定
・登録されているライセンスキー
元に戻っているか、順番に確認していきます。
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有効化したvSphere HAの設定
有効化された状態でリストアされていました。
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登録されているホストと仮想マシン(ホスト2台、仮想マシン16台)
登録されているホストは2台、仮想マシンは17台となっていました。1台仮想マシンが増えているのは今回リストアしたvCenter Server(仮想マシン名:vCenter Server Appliance Restore)ですので、正常にリストアされていることが確認できました。
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SSOの設定
バックアップ前はkensho.localというドメインに参加していましたが、リストア後は外れてしまったようです。ドメイン再参加の設定はすぐに行えますが、設定を反映させるにはvCenter Serverの再起動が必要なので注意が必要です。
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登録されているライセンスキー
ライセンスキーが登録された状態で正常にリストアされていました。
以上でリストアの確認は終了です。
■まとめ
vCenter Serverのファイルベースバックアップは初めてでしたが、難しい操作は特にないためスムーズに検証することができました。環境にバックアップサーバーさえあればすぐにできますので、まだ試していない方はぜひ触ってみてください。
なお、“リストアの確認”からわかるように、ほとんどの設定がリストアにより元に戻ったものの、一部で設定が初期化されていました。今回確認した項目以外にも完全に元に戻らない設定がりますので、実環境で利用する際は一度検証することをお勧めします。
リストア後の不具合については以下の資料にも記載がありますので検証の前にご確認ください。
<ファイルベースのバックアップとリストアに関する考慮事項と制限>
https://docs.vmware.com/jp/VMware-vSphere/6.7/com.vmware.vcenter.install.doc/GUID-AFF34FA6-B7CF-4AE0-9C12-C674F160682C.html
以上で、vCenter Serverのファイルベースバックアップとリストアの手順は終了です。Part1から読んでくださった方、ありがとうございます!
本コラムが皆様のお役に立つと幸いです。
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