HYCUで楽々データ保護
第7回 サイジングについて

 
こんにちは、HYCUの吉田です。
これまでHYCUの展開方法や操作方法、機能紹介をしてきましたので、ここではHYCUを導入するにあたり、気になるサイジングや参考構成について紹介したいと思います。
 

サイジングの対象は2つあり、1つはHYCUコントローラーと呼ばれる仮想アプライアンスとして提供されるバックアップサーバーです。バックアップの構成、保護対象や保存場所の登録、バックアップやアーカイブなどのジョブを実行する管理サーバーです。
HYCUコントローラーは軽量でリソースの消費量が抑えられる設計になっています。仮想アプライアンスですので、導入時にCPUやメモリを参考値に従って割り当て、日々の運用状況に応じてリソースを調整することを推奨しています。
 

もう1つはバックアップデータを保存するターゲットストレージのサイジングです。
バックアップ対象のデータ量、日々の変更データ率、増加率、保持期間、圧縮率、アーカイブの有無などにより求められるストレージ容量は大きく変わりますので、事前に要件を確認しておくことでより正確な値を求めることができます。とは言え、将来にどれだけデータが増えるのか事前に計算するのは難しいので、スケールアウトストレージを導入し小規模から始める、もしくは余裕をもった大きめのストレージを導入するかどちらかを選ぶことになると思います。または、HCYUは複数のターゲットストレージを登録できるため、後日に別ストレージを追加することも可能です。
それ以外にも、重複排除機能を持つストレージもありますので、同じようなデータを複数バックアップする環境では、全体の保存データ量を抑えるソリューションもあります。
尚、ストレージは容量だけでなくパフォーマンスについても意識する必要がありますので、規模が大きくなる場合は注意が必要です。
 

それではサイジングについてみていきましょう。
 

1.HYCUコントローラーVMのサイジング

こちらの表に参考となるリソースを記載しています。
 

HYCUコントローラーVMのリソース

VM数

vCPU数

コア数

メモリ(GB)

OSディスク(GB)

データディスク(GB)

最小

4

1

4

10

32

50第未満

8

1

8

10

32

50-200台

8

2

16

10

32

200-500台

16

2

32

10

50

500台以上

複数のHYCU VMを検討

 
注意:

  • コア数は物理ソケット数に合わせることを推奨します。例えば物理ソケットが4の場合はコア数を4とし、vCPU数を減らします。
  • Nutanix Fileをバックアップする場合、HYCUインスタンスという異なるVMが展開され、8vCPU、1コア、16GBメモリのリソースが必要です。100万ファイル以上をバックアップする場合はvCPUを16に変更します。

 
尚、こちらの表のスペックは導入するのに安全な(十分な)リソースですから、必ず必要となるわけではございませんが、細かな要件が未確定の場合、目安として是非参考としてください。
 

実際に求められるリソースですが、以下の条件を満たしていると想定通りのパフォーマンスが得られます。
 

  • 同時にバックアップするVM数を増やすにはターゲット設定のConcurrent Backup(同時バックアップ)数を調整します。vCPU数はConcurrent Backup数より1つ多くします。例えば同時処理数(同時にバックアップするVM数)が4のターゲットストレージを1台使用する環境では、4+1=5vCPUが必要となります。メモリの最小要件は4GBですが、8GBを推奨します。
    または、同時処理数(同時にバックアップするVM数)が8のターゲットストレージを1台使用する環境では、8+1=9vCPUが必要となります。同時処理数が8台となると、全体のVM数が多い環境が想定されますので、メモリは図の参考値通りに割り当てます。

  • クラウドやテープターゲットを使用する場合、vCPUとメモリを16以上にします。保護対象VM数が少ない場合はこれに限りませんが、このリソースがあると安心です。

  • バックアップデータを圧縮する場合、ジョブ毎に1GBメモリを追加し、2ジョブ毎に1vCPUを追加します。パフォーマンス重視であればバックアップデータを圧縮しない方が良いですが、必要となるターゲットストレージの容量を抑えるには圧縮を有効にします。

  • 暗号化を有効化しても、リソース追加は特に必要ありませんので、状況に応じて後で検討してください。

 
2.ターゲットストレージのサイジング

 
事前に確認する項目は主にこちらの通りです。
 

  • 保護対象となるVM数

  • 保護対象のデータ総容量とVM毎の平均データ容量(バックアップ対象は実容量のみ)

  • 日々のデータ変更率や増加率

  • バックアップ実行頻度と保持世代数、実行時間帯

  • 同時処理数

  • ターゲットストレージのタイプと重複排除機能の有無

  • データ圧縮の必要性

  • コピージョブやアーカイブの必要性

 
これらの情報はHYCUに限らず、どの製品でもほぼ同じように必要とされます。

イメージし易いように例をあげてみましょう。
 

  • 保護対象100台

  • VM内の実データは平均50GB、100台合計で5TB

  • 日々のデータ変更率2.9%

  • 7世代保持

  • 平日夜間の増分バックアップと週末のフルバックアップ

  • 同時処理数4

  • 保存場所はNAS(重複排除機能なし)

  • データ圧縮あり(約40%削減)

 
1週間分のデータ量 = 5TB + (5TB × 0.029 × 5) = 5.725TB
データ圧縮効果により5.725TB × 0.6 = 3.435TBがバックアップデータ量になります。
作成するジョブ数やフルバックアップが2つ存在する期間などを考慮すると、倍の容量である6.87TBがあると安心です。
また、ストレージは容量が圧迫するとパフォーマンスが低下しますので、使用率を80%未満に抑えるよう、ゆとりのあるストレージを準備すると良いでしょう。
 
それでは、よりイメージし易いようにシナリオベースの参考構成をご案内します。
 

シナリオ1 VM50台の5TB環境

シナリオ1

シナリオ2 VM100台の10TB環境

シナリオ2

シナリオ3 VM100台とFiles 5TBの15TB環境

シナリオ3

シナリオ4 VM400台の40TB環境

シナリオ4

 
いかがでしょうか。要件や規模によって細かな設計が求められますので、その際は是非ご相談ください。
また、HYCUはフリートライアルをご提供しておりますので、事前にお試し頂くことでより環境に適したサイジングができると思います。

 
どうもありがとうございました。