Cisco 担当者コラム
Cisco・Wireless
Wireless 第21回 「Catalyst9100シリーズ紹介 管理編3 ~アクセスポイント内部の仮想コントローラ(EWC-AP)による集中管理~」
前回は、9100シリーズの管理方式であるアプライアンス型の無線LANコントローラによる集中管理についてご紹介させて頂きました。
今回は、アクセスポイント内部の仮想コントローラ(EWC-AP)による集中管理ついてご紹介させて頂きたいと思います。
EWC-APというのは実は、Catalyst9800シリーズのコントローラの導入パターンのうちの一つで、Catalyst9100シリーズのアクセスポイントにCatalyst9800シリーズのコントローラを組み込んだソリューションの事を指します。
では、早速EWC-APの特徴をご紹介します。
要するに別途コントローラを用意しなくても、アクセスポイントとしても利用する事が出来て、集中管理も可能なので、導入コストが安価というところがメリットになります。
また、このEWC-APでは、最新のWi-Fi 6のCatalyst9100シリーズの管理および新機能をフルサポートし、さらに従来のWi-Fi 5 802.11ac(wave2)をサポートするAironetシリーズの集中管理にも対応しております。
EWCで管理可能なアクセスポイントの詳細につきましては、2020年9月時点での最新バージョンの情報であれば、下記で確認する事ができます。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/controller/ewc/17-3/rel-notes/ewc-rn-17-3-x.html#Cisco_Concept.dita_4e686689-db5f-464b-8157-92abcfd40028
>Supported Cisco Access Point Platforms
>Subordinate AP
EWC-APの設定や機能に関しては、Catalyst9800シリーズのコントローラをベースとしている為、アプライアンスモデルとほぼ変わりなく、同じ日本語GUIの設定画面で基本的な設定から詳細な設定まで柔軟に行う事が可能です。
EWC-APの詳細な機能につきましては、下記のEWC列をご参照下さい。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/access_point/feature-matrix/ap-feature-matrix.html
こちらは、前回記事でもご紹介しましたが、アクセスポイントモデル毎にCatalyst 9800シリーズで管理した場合とEWCで管理した場合の機能サポート可否がリスト化されているので、とても便利です!是非ご覧ください。
次にEWC-APのラインナップについてです。
APの最大管理台数については、エントリーモデルのC9115であれば最大50台、ミッドレンジのC9120、ハイエンドのC9130では最大100台まで管理する事が可能です。
また、C9120とC9130では、Ciscoが独自開発したソフトウェア無線モジュールCisco RF ASICというものが搭載されており、Ciscoの独自機能を利用することが可能です。
Cisco RF ASICの主な機能としましては、下記となります。
・Clean Air
利用しているチャネルだけでなく全チャネルの干渉源の検知、識別、影響度を調査し、影響の大きいものは対策を行う機能
・オフチャネルスキャン
通常負荷が掛かる利用していないチャネルのスキャンをRF ASICが行うことでアクセスポイントのパフォーマンスを下げることなく、実施する事ができる機能
・Dual Filter DFS
RF ASICを使い、2段階でのDFS検知を行う事でより精度の高い検知および回避ができる機能
これらの機能では、ビデオ会議などの低遅延が必要なアプリケーションを利用される際やより安定した無線通信を必要とする環境などでは、非常に有効な機能となっております。
是非、RF ASIC搭載の上位機種もご検討頂ければと思います。
では、次にEWC-APによる集中管理とアプライアンス型の無線LANコントローラによる集中管理との大きな違いについてご説明させて頂きます。
Active EWCは、実際のコントローラの役割を担うアクセスポイントです。
Standby EWCは、Active EWCで障害などが起こった際に、代わりにコントローラの役割を担うアクセスポイントです。
基本的には、Active EWCが拠点内のアクセスポイントを集中管理するわけですが、
ここで注意して頂きたいポイントとしましては、集中管理ができるアクセスポイントの範囲になります。
EWC-APは、同じセグメント(同一VLAN)の範囲のアクセスポイントの集中管理しか行う事が出来ません。その為、複数拠点にアクセスポイントが存在する場合は、拠点毎にEWC-APを導入して頂き、拠点毎の集中管理という形になります。
この点がアプライアンス型コントローラとの大きな違いになりますので、EWC-APをご利用頂く際には、ご注意いただければと思います。
では、次はご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、従来のAironetシリーズでは、Cisco Mobility Express(CME)という仮想コントローラが搭載されておりました。その為、こちらの製品とEWC-APの違いについてもご紹介させて頂きます。
CMEについては、過去の記事でご紹介しておりますので、下記をご参照下さい。
https://www.idaten.ne.jp/portal/page/out/secolumn/cisco/wireless/001.html
CMEとEWC-APの主な違いとしましては、機能とライセンス体系です。
※ライセンス体系については、次回の記事でご紹介させて頂きます。
まず、搭載されているOSがCMEではAireOS、EWC-APではIOS-XEとなりますので、それに伴い、機能差分がいくつかございます。
ここでは、EWCでサポートされている新機能についてご紹介させて頂きます。
一方EWC-APでは、常にActive機もStandby機もコントローラが同時稼働している為、10秒以下で切り替わりが可能になります。
もう一つは、EWC-APはIOS-XE機能を搭載している為、パッチの適用が可能です。
その為、不具合の修正や新モデルAPのサポートなどについては、ネットワークに影響を与えることなくシームレスにアップデートを行う事が可能になっております。
その他にもEWC-APでしか利用できないWi-Fi6の機能やCMEでしか利用できない機能もございますので、詳細な機能の比較につきましては、下記をご参照下さい。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/controller/ewc/17-11/matrix/MEandEWCFeatureComparisonMatrix.html
今後はAironetシリーズ(CME)では、Wi-Fi 6対応のアクセスポイントがリリースされる予定はございませんので、Wi-Fi 5のCMEからWi-Fi 6をフルサポートするEWC-APに移行をご検討頂ければと思います。
今回はここまでとさせていただきます。
次回は、EWC-APのライセンス体系についてのご紹介です。
引き続き宜しくお願いいたします。
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