Azure 第21回 『Microsoft製品、どこで学んでいますか?』

Microsoft Learn でセルフラーニング

皆さんは Azure を始めとする Microsoft 製品の技術をどのように学んでいますか。また、技術のスキルを向上させるためにどのような学習をされているでしょう。Microsoft は自社製品を幅広く活用してもらい、より良い使い方をしてもらうために、多くの技術情報や学習のコンテンツを用意しています。こうしたコンテンツのハブとなるのが Microsoft Learnです。

Microsoft Learn には Azure や Microsoft 365 のようなクラウドから Windows Server などのオンプレミス製品まで、また、アプリケーションやサービス、ゲームの開発者から運用管理を行う IT プロフェッショナルまでの、幅広いコンテンツが掲載されています。その中でも、近年特に力が入れられているのはセルフラーニングの分野です。
IT 系のトレーニング・ラーニングというとセミナーや研修、スクールでの学習を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、自分が必要とする分野を自分のペースで、自分の好きな時間に学習できるセルフラーニングも重要です。Microsoft Learn にはそうしたセルフラーニングのためのコンテンツが充実しています。
今回はセルフラーニングコンテンツを中心に、Microsoft Learn の使い方、セルフラーニングの方法を紹介します。

Microsoft Learn サイト

Microsoft Learnは Microsoft の技術情報とラーニングコンテンツのハブとなるサイトです。

サイト内は大きく8つの領域に分かれています。

技術ドキュメント

Microsoft 製品の技術文書のトップページ

トレーニング

セルフラーニングのためのトレーニングコンテンツのトップページ

資格認定

Microsoft 認定・Microsoft 365 認定・Microsoft Office Specialist などの認定資格のハブサイト

Q&A

コミュニティ ベースの開発者・IT プロフェッショナル向け質問サイト

コードサンプル

Microsoft の開発者ツールとテクノロジーを活用できるコードサンプルの公開サイト

評価

ビジネス戦略やワークロードのアセスメントがセルフサービスで行えるサイト

ショー

Microsoft のエキスパートによる技術紹介・チュートリアル・トレーニングの動画サイト

イベント

Microsoft やその関連イベントのオンライン視聴(ライブとオンデマンド)

この記事ではこれらの内容のうち、技術ドキュメント・トレーニング・Q&A の3つについて詳しく紹介します。

技術ドキュメント

  • 技術ドキュメントのサイトには、Microsoft 製品(コンシューマ向け製品を除く)の技術情報が集まっています。

  • 製品名をクリックすることで、その製品ドキュメントのトップページが開きます。

  • そこからさらにサービスごと、機能ごとのページに進むことができます。

  • 技術の概念を解説する記事だけでなく、手順に従って簡単にその技術を試してみることができる「クイックスタート」や「作業を開始する」、実践的な手順を学べる「チュートリアル」や「攻略ガイド」のページもあります。

  • 個別のページに進むと、本文の左側にナビゲーション、右側にその他のリソースが表示されます。ナビゲーションを使用して、今読んでいるページに関連するページへとすぐにアクセスできます。また、その他のリソースには今読んでいるページに関連するトレーニングのページと関連ドキュメントへのリンクが表示されます。これらを使って知りたい情報について、知識やスキルをより深めることができるようになっています。

  • また製品によっては、同じテーマのドキュメントを製品のバージョンを切り替えて表示することもできます。特定のバージョンでの情報を得たいときに便利な機能です。

  • ドキュメントによってはページの上部に「このトピックの一部は機械翻訳で処理されている場合があります」と表示されます。機械翻訳の精度は高くなっていますが、人間によるチェックが行われていないので不正確な場合もあります。

  • そのような場合は、ページを英語版に切り替えて表示させることができます。
    ページの最下部の [日本語] をクリックします。

  • [言語を選択する] 画面が表示されますので、[English (United States)] をクリックします。

  • これで同じページの英語版が表示できます。

Microsoft Learn のドキュメントは原則的に英語(アメリカ)が原本となり、そこから各国語に翻訳されます。翻訳での文意が分かりにくい場合や機械翻訳されている場合は、英語ページで内容を確認されることをお勧めします。

トレーニング

トレーニングを利用する際は、サインインすることをお勧めします。サインインせずにトレーニングを利用することは可能ですが、サインインすると

  • トレーニングを中断してもそこから再開できる
  • 自分が取り組みたいトレーニングのリストを作って順に実行する
  • トレーニングで得られたスキルをレベルや点数で表示できる

などのメリットがあります。
サインインは個人用アカウント(Microsoft アカウント)でも組織アカウント(Entra ID - 旧称 Azure AD - アカウント)でも行えますが、個人のスキルを保存するためには個人用アカウントでのサインインが推奨されています。

  • 組織アカウントの場合、転職するとそれまでのトレーニングの成果が表示できなくなります
  • 初めてMicrosoft Learn にサインインすると、プロファイルの作成が求められます。これはサインインしているアカウントに設定されている名前やメールアドレス以外に、Microsoft Learn 内だけの表示名・連絡先メールを構成するものです。

  • [トレーニング] のトップページにある [ラーニングパスを参照] をクリックすると、すべてのラーニングパスとモジュールが表示されます。
    ラーニングパスとは、特定のテーマにそっていくつかの授業を学習順に並べたもので、これに沿ってトレーニングすることで体系的な知識が得られます。モジュールとはその1つ1つの授業のことです。

画面左側にフィルターがありますので、製品や学習者の役割、レベル、対象領域で絞り込むことができます。またラーニングパスだけ・モジュールだけの表示にも切り替えできます。

  1. それでは実際にラーニングパスを進めてみましょう。

    ラーニングパスの最初のページには、このラーニングパスの解説と前提条件が書かれています。その下にこのラーニングパスで学習するモジュールが表示されます。
    [開始] をクリックすると、最初のモジュールからトレーニングが始まります。

  2. モジュールの1ページ(1段階)をユニットと呼びます。モジュールの最初のユニットには、このモジュールの概要と学習の目的が表示されます。
  3. ユニットに表示される内容を読んで理解し、学習していきます。
    [続行] をクリックすることで次のユニットに進みます。
    ※ページ上部の[ < 前へ]・[次へ > ] をクリックすることでもユニットを移動できます
  4. モジュールの最後に理解度を確認する [知識チェック] が表示されます。
    答えを選択して [回答を確認] をクリックします。
  5. 知識チェックの採点が行われ、実績に追加されます。
    [続行] をクリックします。
  6. モジュールのまとめが表示されます。
    [実績のロックを解除] をクリックします。
  7. これで1つのモジュールが完了です。
    [続行] をクリックすると、ラーニングパスの次のモジュールに進みます。

Azure のラーニングパスでは、実際の Azure 環境を操作して経験できるものもあります。

これは「サンドボックス」と呼ばれる機能で、一定時間だけサインインしているユーザーに学習用のサブスクリプションを割り当てるものです。サンドボックスを利用する手順は以下の通りです。

  1. [サンドボックスをアクティブ化] をクリックします。
  2. 初めてサンドボックスを使用する場合は以下の表示になりますので、[アクセス許可の確認] をクリックします。
  3. アクセス許可の確認ダイアログが表示されますので、[承諾] をクリックします。
  4. サンドボックスがアクティブ化され、Azure が1時間利用できるようになりました。
  5. ユニットの指示に従って Azure ポータルにサインインすると、サンドボックスのサブスクリプションが割り当てられていることが確認できます。
  6. ユニットの指示通り、仮想マシンを作成することもできます。

このように Microsoft Learn のトレーニングでは、自分が学習したい領域について、ガイド付きの実習を含めて自分のペースで、好きな時に学習することができます。
新しい製品や技術について学びたい時は、ドキュメントでの情報確認と併せてトレーニングで学習することで、すばやく知識とスキルを吸収できます。

Q&A

  • Q&A はコミュニティ ベースの開発者・IT プロフェッショナル向け技術質問サイトです。以前に技術質問サイトとして運営されていた MSDN フォーラム・TechNet フォーラムの後継となります。
    現在は英語版でのみ提供されていますが、今後日本語版を含む他言語でも提供が開始される予定です。

Q&A での質問では、以前の MSDN フォーラム・TechNet フォーラムのように特定のカテゴリーに投稿するのではなく、質問にカテゴリーを表すタグを付けて投稿することで、どのような分野についての質問かを示します。

  1. 質問を開始するには、右上の [Ask a Question] をクリックします。
  2. 質問のタイトルを入力すると、その内容で Q&A 内が検索され、同じような内容の過去質問のタイトルが表示されます。
    もしここで同じ質問内容で既に解決済み([answer] にチェックマークが付いているもの)があれば、それをまず参照することをお勧めします。質問するまでもなく問題が解決できる場合があります。
  3. 質問を投稿する場合は、タイトルを入力したらタグを入力します。利用できるタグは非常に多くありますが、文字を入力するとそれに該当するタグが表示されますので、その中から選択してください。タグは最大5つ入力できます。
  4. 右側に表示されている [Tips for asking a question] を参考にして、質問の詳細を入力し、[Post your question] をクリックします。

    英語版の Q&A では英語での投稿が推奨されています。日本語での投稿も可能ですが、圧倒的に英語圏のユーザーが多いので、日本語での投稿は無視されるか、回答が得られても英語での投稿となる場合があります。英語で質問文を考えるか、Bing Translator などの翻訳サービスを利用して質問を英語にした上で、Q&A に投稿されることをお勧めします。

    また英語の投稿はブラウザーの翻訳機能を使って日本語で読むこともできます(Edge であればページ上で右クリックして [日本語に翻訳])。

    ※日本語版の Q&A が提供開始されたら、日本語での質問は日本語版 Q&A に投稿してください。

その他の領域

  • 資格認定」は Microsoft の認定資格(Microsoft Certified や Microsoft Office Specialist)についてのハブサイトになっています。認定資格のそれぞれについて、その内容や範囲、レベル、必要となるトレーニング(Learn のトレーニングへのリンク)が示されています。

    また認定試験や認定試験向けの有償トレーニングへの申し込みもここから行えます。

  • コードサンプル」では Microsoft の開発ツールや対象プラットフォームごとに、さまざまなコードサンプルが提供されています。サンプルは ZIP ファイルでのダウンロードや、GitHub リポジトリで提供されます。

  • 評価」は組織のビジネス戦略やワークロード(ビジネスプロセスやシステム、アプリケーションなど)、セルフアセスメントや開発者の自己評価が行えるサービスです。 表示される質問に答えたり情報を提供したりすることで、実行可能で情報豊富な、キュレーションされたガイダンスのレポートが作成されます。

  • ショー」は、Microsoft の技術エキスパートが出演する技術紹介やチュートリアル、トレーニングのための動画を公開しているサイトです。さまざまな分野の技術について短い時間で分かりやすく要点をまとめた動画が多数公開されています。 ほとんどの動画の音声は英語ですが、自動翻訳による日本語字幕を表示することができます。

  • イベント」では、これまでに行われた Microsoft 主催・Microsoft 関連のイベントをオンデマンド配信で見ることができます。

    今年の Build 2023 の動画もここで公開されています。

    こちらも「ショー」と同様に、日本語の字幕を表示できます。

まとめ

Microsoft では技術者やユーザーがスキルアップすることで、Microsoft の製品やサービスがより良く最適に利用されることを目指しています。そのためのセルフラーニングのコンテンツが Microsoft Learn には盛りだくさんに用意されています。
Microsoft Learn を活用して、自身の、そして所属組織全体のスキルアップ、レベルアップを目指してください。

なお当社でも独自のセミナーを多数開催しています。こちらにご関心がありましたら、当社担当営業までご相談ください。

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