HPC, AI, Data Analysis データの激増でサーバーはもっと売れる!?(1)

HPC・AI 対応サーバー需要に商機あり

収集できるデータの増大と、そうしたデータの分析・活用を促進するHPCやAI技術の進展が、新たなサーバー需要を呼び起こしそうだ。ディープラーニング用途などで絶大な効果を発揮するGPU対応サーバーのラインアップも拡充されてきている。さまざまな作業の自動化やエッジコンピューティングの普及にも一役買いそうだ。

AI関連ビジネスの市場が拡大

HPC・AI対応サーバー需要に商機

 データの収集規模や活用範囲の拡大に応じて、大規模なデータ分析を実現するHPC(High Performance Computing)用途に加えて、市場の急激な伸びが予測されているAI(Artificial Intelligence)用途でのサーバー販売の可能性が広がりつつある。従来までは衝突・流体・構造解析や創薬開発といった専門性の高い領域においてHPCが活用されてきたが、これからはAIやビッグデータ分析など一般的なビジネスに取り入れやすい領域においてもHPCの技術が適用され、対応するサーバー需要が拡大すると見込まれているのだ。

 富士キメラ総研が昨年発表した「2016 人工知能ビジネス総調査」によると、サービス、SI、プロダクト(ハード、ソフト)、クラウドサービス(SaaS、IaaS/PaaS)などを含めた国内AIビジネスの市場規模は、2015年度の1,500億円から2020年度には1兆20億円にまで拡大すると予測されている。同調査における需要業種カテゴリー別市場規模では、「製造」「流通/サービス」「金融」「情報通信」「医療/ライフサイエンス」「公共/社会インフラ」「その他業種」いずれのカテゴリーでも高い成長が見込まれている。

注目市場は需要予測や映像監視

 富士キメラ総研の調査では、「需要予測」「コールセンター」「映像監視」「コミュニケーションロボット」「ネットワークセキュリティ」の五つを、AI活用における注目市場としてピックアップしている。

 AIと組み合わせて提供されるBIツール、データマイニングツール、統計解析ツールなどを対象とした需要予測市場については、「すでにAIを活用した製品が提供されており、AI関連技術の発展が直接的に波及するソリューションといえる」と指摘する。

 映像監視市場は、監視カメラで撮影された映像を分析する目的でAIを解析ソフトに組み込んだソリューションが対象だ。HPCやAI用途のサーバーにはGPUが利用されるケースが多いが、映像解析は画像や映像の処理に強みを発揮するGPUの得意領域でもある。映像のリアルタイム分析による監視目的のほか、製造業における製造ラインの監視や検査といった用途での活用が見込まれる。AIを利用することで従来以上に精度の高い判定を自動化できるようになるという。

 コールセンターについては、「以前よりAI関連技術を活用した業務効率化が期待されてきた市場であり、すでに活用されているケースもみられるなど、現時点での市場規模が大きいところが特徴である。オペレーターの業務支援やVOC(Voice of Customers)分析などでのAI活用が今後進んでいくとみられる」と言及する。ネットワークセキュリティでは、マルウェアの判定においてすでにAIを活用したサービスが登場してきている。

 これらの市場以外にも大量に収集されるデータの分析・活用ニーズは確実に広がっている。それに応じて、HPCやAIに対応するサーバーやソフト、サービス、SIなどのビジネスチャンスが期待できそうだ。

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