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Wireless 第53回「Catalyst9800シリーズのAP Power Save機能について」

こんにちは。TEと申します。

 

突然ですが、皆様は省電力化についてどれくらい意識されておりますでしょうか。昨今では、地球温暖化だけでなく、供給電力のひっ迫によるコストの増加もあり、ますます省電力化が重要視されております。そこで、今回はより効率的にAPの省電力化を行うことができる新機能についてご紹介したいと思います!

 

 従来のCisco製品では、スイッチのPoE電力供給をスケジューリングすることで業務時間外などはAPへの電力供給を止めて電源を切っておくといった形での省電力化が可能でした。こちらを行う事により、業務時間外にAPは電力を全く消費しないので、省電力化といった観点では、非常に効果的でした。しかしながら、残業や急遽休日出勤が必要になる等、不定期に無線LANを利用するような環境では不向きな仕様となっており、利便性の点ではあともう一歩というところでした。

 

そこで、新たに実装された機能がCatalyst9800シリーズの「AP Power Save」というものです。こちらは、簡単に言うとAPにクライアントが接続していない時のみ省電力モードにすることで、電力使用量を削減する機能になります。つまり、無線LANの利用有無に応じて、通常モードと省電力モードの自動切り替えが可能となる為、不定期に無線LANを利用するような環境でも実装しやすいということですね。

では、ここからは実際のGUIの設定画面を見て頂きながら、具体的な設定内容等についてご紹介できればと思います。

まず、前提としまして「AP Power Save」を利用するには、2023年2月時点では以下の要件を満たす必要があります。

 

[サポートする無線LANコントローラ]

・Catalyst9800シリーズ(IOS-XE 17.8.x 以降)

[サポートするアクセスポイント]

・C9115、C9120、C9130、C9136、CW9162I 、CW9164I※、CW9166I※、

 ※IOSXE 17.9.x以降が必要です。

 

続いて、「AP Power Save」の全体の設定の流れとしては以下の通りとなります。

1. Power Profileの作成

2. Calendar Profileの作成

3. Power ProfileとCalendar Profileの紐付け(AP 参加プロファイル)

 

まずは設定 > タグとプロファイル > PowerProfileページに進んで頂き、追加をクリックし、以下の設定ウィンドウを表示します。

こちらのウィンドウで、省電力モード時の「Radio」、「Ethernet」、「USB」の動作設定とシーケンス番号(小さい数値ほど優先順位が高い)の設定を行い、PowerProfileを作成します。今回は通常モードに自動切換できるようにしたいので、2.4GHzのみを残してクライアントが接続できるようにしています。また、その他全てのRadioは無効にして、USBポートも無効にしています。ここで定義できる内容としては以下の通りです。

 

[Radio]

・6GHz(4x4/3x3/2x2/1x1/オフ)

・5GHz(8x8/4x4/3x3/2x2/1x1/オフ)

・2nd 5GHz(8x8/4x4/3x3/2x2/1x1/オフ)

・2.4GHz(4x4/3x3/2x2/1x1/オフ)

 

[Ethernet]

・Eth0(5Gbps/2.5Gbps/1Gbps/100Mbps)

・Eth1(5Gbps/2.5Gbps/1Gbps/100Mbps)

 

[USB]

・無効

 

※AP側でサポートされない内容については反映されません。

※Radioのアンテナストリーム数の指定は、IOS XE 17.10.x以降で利用可能です。

※Ethernetの設定は、IOS XE 17.8.1では利用できません。

 

続いて、設定 > タグとプロファイル > Calendar ページに進み、追加をクリックし、以下の設定ウィンドウを表示します。

こちらのウィンドウで、クライアントがいない場合に省電力モードにする期間を設定し、カレンダープロファイルを作成します。今回は毎週土日の0時から23時59分59秒に設定しています。ここで定義可能な内容は以下の通りです。

・Daily(毎日):開始時間と終了時間

・Weekly(毎週):開始時間と終了時間、曜日(複数選択可)

・Monthly(毎月):開始時間と終了時間、日にち(複数選択可)

 

最後に、設定 > タグとプロファイル > APへの接続  ページに進み、default-ap-profileをクリックし、設定ウィンドウを表示します。さらにAP> 電源管理 > Calendar Profile – Power Profile Map > 追加をクリックし、以下のページに移動します。

こちらで、先ほど作成したカレンダープロファイルとPower Profileを選択し、AP参加プロファイルを設定します。今回はdefault-ap-profile(デフォルトのAP参加プロファイル)の設定を行っている為、APにデフォルトで適用されているAP参加プロファイルを明示的に変更していない場合は、管理している全てのAPに今回設定した省電力モードのルールが一括適用されます。

その為、特定のAPのみに省電力モードのルールを適用したい場合は、新規追加したAP参加プロファイルにて同様の設定を行います。その後、対象のAPにそのAP参加プロファイルを適用する必要があります。そちらの手順については、以下のドキュメントをご参考にしてみてください。

Catalyst9800ワイヤレスコントローラの設定モデルについて - Cisco
>9800 WLCでのAP加入設定

 

 これで設定は終了です。

AP Power Saveについては基本的には3ステップで簡単に設定が可能です。全く無線LANを利用しない時間帯は、従来通りPoEスイッチのポートを無効化して頂き、たまに利用する可能性がある時間帯は、AP Power Saveを利用するといった形で環境に応じて、使い分けや併用しながら、効率的に省電力化して頂くことをお勧めいたします。

 

以上となります。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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