今さら聞けない「DHCPの基本」 連載2回目 [前編]

企業が求めるDHCP専用アプライアンスの
要件を深掘りする

企業ネットワークの信頼性を向上させ、ワークスタイル変革やIoTなどの新しい取り組みの基盤ともなるDHCP専用アプライアンス。連載1回目では企業に求められるDHCPの要件、そしてDHCP専用アプライアンスを導入することによるメリットを解説してきた。連載2回目となる今回は、ソリトンシステムズが提供する「NetAttest D3」(ネットアテスト ディースリー)を例に、その価値を最大限に引き出していくためのポイントを整理する。

法人企業に最適化されたDHCP専用アプライアンス

 前回は企業に求められるDHCPの要件、そしてDHCP専用アプライアンスを導入することによるメリットを解説してきた。そのメリットは多くの企業にとって歓迎される筈である。しかし、現状においてDHCP専用アプライアンスが導入されていないケースは多いように思われる。導入メリットが明らかであるにもかかわらず導入に至らなかった背景とは何だろうか。そこで問題となるのが「コスト」だ。

 古くからDHCP専用アプライアンスは、サービスプロバイダーやデータセンター事業者などの大規模ネットワーク環境で利用されていた。ネットワークの提供をビジネスにする事業者にとって、ネットワーク障害は企業の信用そのものを大きく損なうことにつながるため、DHCPは重要サービスとして認識されている。従来のDHCP専用アプライアンスはこのようなネットワーク事業者をターゲットとして開発され、一般的なIT機器に求められる以上の、非常に高い信頼性と処理能力を提供している。しかし、その結果、製品の価格はどうしても高くなりがちだったのだ。

 規模を問わず信頼性の高いネットワークが前提となった現代では、一般企業の無線ネットワーク環境においても、ネットワークの安定はビジネスを大きく左右することになっている。可能であればDHCP専用アプライアンスを導入し、安定したネットワーク基盤を実現したいところだ。しかし、IT予算には限りがある。このような一般企業が求めるのは、充実した基本性能を『適正なコスト』で提供できる製品なのだ。

 Windows Server利用時に問題となっていた「パフォーマンス」、ネットワーク機器利用時に課題となっていた「可用性」。それに加えて「コスト」の要件を満たす製品。それがソリトンシステムズの提供するDHCP専用アプライアンス「NetAttest D3」だ。

ソリトンシステムズが提供する「NetAttest D3」

 NetAttest D3は、一般法人向けに提供されているDHCP専用アプライアンスだ。前述したように、従来のDHCP専用アプライアンスはサービスプロバイダーのような大規模環境向けに提供されることが多く、多機能かつ高価格な製品が多かった。しかしNetAttest D3は、企業が求めるDHCPサーバー関連機能に特化することで、サービスプロバイダーに求められるような高い性能と信頼性を維持したまま、導入しやすい価格帯での提供が可能になったのだ。

ソリトンシステムズ「NetAttest D3」は企業に必要な機能をオールインワンで提供

DHCP本来の機能を追求しつつ堅牢性と安定性を備える

 NetAttest D3の設計思想を支えているのが、「尖っていながらも裏方に徹する」というものだ。まず尖っている点として、DHCPが本来持つ「IPアドレスの払い出し」機能の追求がある。IPアドレスの払い出し速度は、エントリーモデルで1時間に約1,350リリースにも達する。将来、自社でIP機器が急増するような状況になったとしても、DHCPサービスのキャパシティで心配することはないだろう。

 裏方に徹する点としては“ハードウェアの堅牢性”と“運用時の安定性”がある。堅牢なハードウェアと最適化されたソフトウェアにより、DHCPサーバーとしての信頼性を高めている。冗長性の機能も充実しており、万が一システム障害が起きた場合でもネットワークは一切止めることなく、払い出し処理を継続できる。

 DHCPというネットワーク運用にクリティカルな機能であるだけに、簡単に導入・運用できる点も重要だ。“国産”製品のNetAttest D3はシンプルでわかりやすいUIを採用していることに加え、マニュアルやサポートも日本語で提供されている。アプリケーションやデバイスに何らかの障害が発生した場合でも、慌てることなく対応できるだろう。

その必要性から導入が急増しているNetAttest D3

 このように、法人企業が利用するにあたって必要なポイントを押さえたNetAttest D3はソリトンシステムズが提供する製品群の中でも注目度が高い製品だ。ソリトンシステムズがNetAttest D3を自社開発し提供をスタートしたのは約10年前だが、モバイルやクラウド、IoTを支えるための無線LAN需要が本格化したことを受け、昨年の出荷台数は5年前と比較して10倍を超える。実績あるロングセラー製品がここまで成長を維持するのは驚異的といえる。その背景には、前述したような設計思想や、国産製品であることによるメリットに加えて、「パフォーマンス」「信頼性」「コスト」の三点をカバーした機能を実装していることが上げられる。本記事の後編では、これら三つのポイントにフォーカスを当て、NetAttest D3の魅力に迫っていきたい。

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