Windows Server 2016のサポート終了に合わせ
運用の標準化や可視化を実現するクラウド環境に移行
Microsoft Azure
日本マイクロソフト
「Windows Server 2016」の延長サポートが2027年1月12日に終了する。延長サポート終了後は、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、セキュリティリスクが著しく高まる。それに加え、ドライバーソフトや各種アプリケーションなど周辺サポートも終了し、業務継続に支障を来しかねない。最新ソフトウェアを活用できないことは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じたビジネスの推進の阻害要因にもなる。こうしたリスクを回避するためには、サポート終了の期限を見据え、計画的に適切な環境へ切り替えることが重要だ。中でも「Microsoft Azure」への移行は、有力な選択肢の一つといえる。
オンプレミス運用の限界と課題
「Windows Server 2016」の延長サポート終了後の移行先としては、「Windows Server 2022」へアップグレードするという選択肢も考えられる。しかし、オンプレミス環境を前提とした運用は変わらず、結果としてさまざまな課題が残る。
オンプレミス運用では、自社のデータセンターや社内にサーバーを設置し、ハードウェアの調達から運用、廃棄に至るまでを自社で管理する必要がある。OSやミドルウェア、監視、バックアップといった仕組みも個別に構築する必要があり、障害対応や日常的なメンテナンスは人手による作業が中心となる。冗長化やバックアップなどの可用性対策についての責任も全て自社に委ねられる。加えて、障害対応は担当者の経験や判断に依存しやすく、夜間や休日の対応が発生することも多い。特定の担当者に業務が集中する属人化が課題となりやすいのだ。
さらに、オンプレミス運用にはスケール面での制約がある。サーバーの増設や更改には、調達や設置作業が伴うため、対応までに数週間から数カ月を要するケースもある。キャパシティの予測は難しく、過剰投資によるコスト増大や、逆に性能不足による業務影響を招きがちだ。初期投資が大きく、実際の利用量とコストが連動しにくい点は、経営面での負担にもつながる。オンプレミス環境は安定した運用を実現しやすい一方で、スピードや柔軟性、効率の面では限界があるといえよう。
こうしたオンプレミス運用の課題を踏まえると、オンプレミスのサーバー環境をクラウドへ移行することが有効な選択肢となる。中でも、既存環境をそのままクラウドへ移行するリホスト(リフト&シフト)や、クラウドネイティブなPaaS化にも対応できる「Microsoft Azure」(以下、Azure)への移行がおすすめだ。
ハイブリッドクラウド環境での利用に最適
オンプレミス環境をAzureに移行するメリットは六つある。一つ目が、Microsoft製品との高い親和性だ。AzureはWindows Serverや「Microsoft SQL Server」、Microsoft 365などと密接に統合されており、認証基盤の「Microsoft Entra ID」を中心に、既存環境との連携をシームレスに行える。すでにMicrosoft製品を利用している企業であれば、運用を大きく変えることなく、スムーズにクラウドへ移行できるのだ。
二つ目が、ハイブリッドクラウド戦略に強い点だ。ハイブリッドおよびマルチクラウド環境向けの管理プラットフォーム「Azure Arc」を活用すれば、オンプレミスのサーバーや他クラウドのリソースをAzure上で一元管理できるほか、AzureのデータサービスやAIサービスをオンプレミス・エッジ環境で動作させることも可能だ。さらに「Azure Stack」を利用することで、自社データセンターにAzureと同じ開発・運用モデルを導入できる。全ての環境を一気にクラウドへ移行するのではなく、段階的に移行を進められるのだ。
加えて、IoTエッジデバイス向けに「Azure IoT Edge」を提供しており、工場や店舗といったエッジ環境でも、クラウドと連携する分散コンピューティングを実現できる。
三つ目が、エンタープライズ向けの信頼性とサポートだ。ISO認証やSOC(Service Organization Control)、GDPR(EU一般データ保護規則)、金融系規制など国内外の幅広いセキュリティおよびコンプライアンス認証を取得している。また日本国内に複数のリージョンを展開しており、地震や火山噴火といった自然災害への対策や、事業継続計画(BCP)の観点でも安心して利用できる。
四つ目が、AI・データ基盤との統合だ。クラウド型AIサービスの「Azure OpenAI Service」を活用することで、生成AIを企業向けに安全に利用できる。また、Power BIや分析プラットフォーム「Azure Synapse Analytics」と連携することで、蓄積したデータの分析や可視化を加速させられる。さらに、こうして整備したAI・データ基盤を実際の業務に生かす手段として、ローコードツール「Microsoft Power Platform」との連携も有効だ。Microsoft Power Platformは、プログラミングの専門知識がなくてもアプリケーションや業務フローを構築できるため、IT部門に過度に依存することなく、現場部門主導での自動化やアプリケーション開発を進められる。
五つ目が、コストの最適化とライセンス面での優位性だ。Azureは従量課金ベースのサービスであるため、初期費用を抑えつつ、利用状況や需要に応じてリソースを柔軟に調整でき、無駄のないコスト管理を実現する。またAzureでは、すでにオンプレミス環境で保有しているMicrosoftのライセンスをクラウド上でも活用できる「Azure Hybrid Benefit」を利用可能だ。これにより、既存のWindows ServerやSQL Serverのライセンスを無駄にすることなく、Azure環境への移行を行える。さらに、Microsoft 365と組み合わせて導入することで、SaaS・PaaS・IaaSを包括的に利用でき、ライセンス管理や運用をシンプルにしながら、既存投資を最大限に生かしたコスト削減を図れる。
六つ目が、グローバルかつローカル展開だ。Azureは、世界70以上のリージョンで展開されており、グローバル規模でのサービス提供やシステム展開に対応できる。その一方で、金融情報システムセンター(FISC)の安全対策基準や、マイナンバー法への準拠といった国内特有の要件にも対応しており、日本国内のデータセンターでも安心してAzureを利用可能だ。近年重要性が高まっているデータ主権へのニーズにも対応できる。
Azureの六つの強み
業務の属人化の解消を支援
オンプレミス環境からAzureへ移行することで、運用面においても大きなメリットが得られる。Azureへ移行すれば、サーバー故障への対応や機器更改といった物理インフラに関わる保守作業が不要となり、障害対応や老朽化対策に追われることなく、システムの安定提供や継続的な改善といった、本来注力すべき業務にリソースを集中できるようになるのだ。
また、クラウド監視ツールである「Azure Monitor」や、各リソースのログデータを収集・分析・可視化する「Log Analytics」を活用することで、インフラからアプリケーションまでの状態を一元的に把握可能だ。異常があればアラートで検知するため、障害への対応が遅れるリスクを抑えられる。監視に加えて、バックアップや更新作業をAzureの標準機能で行えるため、運用の標準化が進み、属人的な運用や引き継ぎの難しさといったリスクも低減する。その結果、手作業や夜間対応が減り、安定した運用体制を構築しやすくなるのだ。
さらに、Microsoft Entra IDを中心としたID管理と、セキュリティサービスである「Azure Policy」や統合セキュリティ管理基盤「Microsoft Defender for Cloud」による継続的なチェックを組み合わせることで、高いレベルのセキュリティ運用も実現できるのもメリットだ。
クラウド移行に際しては「既存システムへの影響を最小限に抑えられるのか」「オンプレミス環境を大きく変えずに移行できるのか」といった不安がつきものだ。そうした不安を解消するのが、マイクロソフトが提供するファーストパーティの移行ツール「Azure Migrate」である。Azure Migrateは、WindowsやLinuxのサーバー、データベース、データ、Webアプリケーション、仮想デスクトップなど、多様な移行シナリオに対応しており、検出・評価・移行といったプロセスを一元的に管理・可視化できる。さらに、自動化ツールも提供するため、移行プロセスをより迅速かつ効率的に行えるのだ。
Windows Server 2016の延長サポート終了を機にAzureへ移行することは、単なるシステムの延命ではない。属人化や手作業中心の運用を見直し、標準化・自動化された持続可能な運用へと進化させる好機といえよう。
Azure Migrateの管理画面。ダッシュボードでクラウド移行の進捗状況を確認できるため、各ステップを一元的に把握・管理し、計画的かつ安全に移行を進められる。
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