UNIVERGE IX-Rシリーズ/NetMeister

通信性能を損なわないセキュリティ対策と管理者の運用負担を軽減する二つの新機能

UNIVERGE IX-Rシリーズ/NetMeister
NEC

デジタル化の加速に伴い、ITインフラの維持管理にかかる負荷は増大している。一方で、高度なスキルが求められるネットワーク技術者は不足しており、セキュリティ対策の実施や関連機器の運用管理に課題を抱える中小企業が増加しているのが現状だ。また、Web会議の普及やクラウド化の進展により、企業におけるネットワーク回線の通信量は増加しており、スループット低下を招きにくいセキュリティ対策へのニーズが高まっている。こうした現状を受けて、NECは企業向けVPNルーター「UNIVERGE IX-R」シリーズとクラウド型統合管理サービス「NetMeister」において、2026年3月に二つの新機能を公開した。本記事では、これら新機能の詳細について解説していく。

回線性能を最大限に引き出せるルーター

二つの新機能を解説する前に、企業向けVPNルーター「UNIVERGE IX-R」シリーズとクラウド型統合管理サービス「NetMeister」の特長を見ていこう。

UNIVERGE IX-Rシリーズは、150万台以上の出荷実績を誇るVPN対応高速アクセスルーター「UNIVERGE IX」シリーズの後継機に当たる。ギガビット対応の小型VPNルーター「UNIVERGE IX-R2510」、ギガビット対応の拠点用多ポートモデル「UNIVERGE IX-R2520」、10ギガビット対応の拠点用ハイスペックモデル「UNIVERGE IX-R2530」、LTE通信モジュール内蔵モデル「UNIVERGE IX-R2610-4G」の四つのモデルをラインアップしている。

高速化が進むインターネット回線を業務で安定的に利用するためには、ルーター側の性能がボトルネックにならないことが重要だ。光回線やIPv6を用いた高速サービスを利用していても、ルーターの処理性能が不足していれば、Web会議やクラウド利用時に遅延が発生し、業務効率に影響を及ぼしてしまうだろう。その点、UNIVERGE IX-Rシリーズは高速通信に特化した設計のため、UNIVERGE IX-R2530を除く3製品は最大1Gbpsの速度を維持できる。さらにUNIVERGE IX-R2530は10GBASE-Tポートを備えており、最大10Gbpsの高速通信に対応している。日常業務において回線性能を無駄なく活用可能だ。

また、UNIVERGE IXシリーズに搭載されていた独自開発OSを、オープンアーキテクチャベースへ刷新したことで、最新CPUの性能を最大限に活用できるようになった。これによりVPN処理やルーティング性能が大幅に向上している。「AES」「SHA-2」といった電子政府推奨暗号にも対応し、セキュリティレベルを確保しながらも業務に支障を来さない通信速度を維持可能だ。

各拠点の機器を一元管理

NetMeisterは、顧客や拠点単位でネットワーク機器を一元管理するクラウド型サービスだ。基本機能を無償で利用できるほか、有償サービスの「NetMeister Prime」を利用することで、より高度かつ強化された管理機能を活用可能だ。

本サービスはWebブラウザーベースの管理ツールとして提供されるため、PCやスマートフォンがあれば、デバイスや場所を問わずアクセス可能だ。管理者は自席や外出先から装置の稼働状況確認や設定変更、資産管理を行えるため、運用にかかる負担を大幅に軽減できる。また、同一の管理情報を複数の管理者で共有可能なため、属人化の防止や安定した運用体制の構築にも寄与する。

管理対象が幅広い点もNetMeisterの特長だ。NEC製のネットワーク機器にとどまらず、他社製のネットワーク機器のほか、ネットワークカメラやプリンターといった周辺機器も含めて一元管理可能だ。拠点内に分散するさまざまなIT機器の管理を集約でき、管理業務の効率化と可視性の向上を実現する。

NetMeisterを活用することで導入時のキッティング作業も簡略化できる。オフィスで作成したコンフィグをNetMeisterに登録しておけば、現地で電源とLANケーブルを接続するだけで、コンフィグが装置に自動適用される。現地担当者に専門スキルが不要なため、作業の標準化と効率化を同時に実現できるのだ。

DNSセキュリティ機能

通信の初期段階からアクセスを制御

それでは新機能を一つずつ見ていこう。一つ目が、ソリトンシステムズのクラウド型セキュリティサービス「Soliton DNS Guard」と連携した「DNSセキュリティ」機能だ。これは、通信の初期段階であるDNSレイヤーにおいて、脅威や業務に不適切なサイトへのアクセスを検知・遮断する機能だ。通信の入口であるDNS段階でアクセスを制御することで、ルーターや回線への負荷を抑えながら、マルウェアの外部通信遮断やフィッシング対策、業務外通信の抑制といった、日常業務に直結するセキュリティ対策を実現する。通信が確立する前段階でリスクを遮断できるため、エンドポイントの管理が間に合っていない企業でも実効性の高い対策となる。

本機能の特長は、エンドポイントにエージェントを導入する必要がない点にある。PCはもちろん、管理が難しいIoT機器まで含め、ネットワーク全体を対象に対策できるため、端末管理の手間を増やすことなく、セキュリティレベルを引き上げられるのだ。情報システム部門の担当者が不在あるいは少人数であるために、UTMやEDRの導入・運用が負担になりやすい中小企業にとって最適なセキュリティ対策となる。

また、NetMeisterと連携することで、Webブラウザー上からセキュリティログの確認やレポート出力が可能となる。どのような通信が遮断されたのかを可視化するため、対策の効果を管理者自身が把握しやすい。ポリシー設定もGUIによる直感的な一括操作で行えるため、専門知識を持たない管理者でも無理なく運用できる。

NetMeisterとの連携は、小売・飲食チェーンや本社支店型の企業といった、多数の拠点・店舗を抱える企業においても効果を発揮する。各拠点にUNIVERGE IX-Rシリーズを設置し、DNSセキュリティポリシーをNetMeisterから一括適用することで、拠点ごとの設定差異や属人化を防止する。セキュリティログや遮断履歴も遠隔から確認可能なため、トラブル発生時の一次切り分けを本部側で完結でき、現地派遣の負担軽減にもつながる。

二つ目が「RADIUS認証」機能だ。これは、UNIVERGE IX-Rシリーズを認証サーバーとして活用し、ネットワークアクセス制御のための認証規格である「IEEE 802.1X認証」を導入した環境を実現する機能である。認証処理そのものは各拠点に設置されたUNIVERGE IX-Rシリーズが担い、ユーザー情報や証明書はNetMeisterを通じてクラウド上で管理されるため、複数拠点を持つ企業でも一元管理が可能だ。Wi-Fiと有線LANの双方にIEEE 802.1X認証を適用でき、拠点ごとに異なるパスワードを運用するといった煩雑さを解消する。入社・異動・退職の際も、認証情報の更新をクラウド側で行うだけで即座に全拠点へ反映できるため、複数の支社を持つ企業においても、運用負荷の軽減と統制強化を実現する。

RADIUS認証機能

<b style="font-size: 18px;">RADIUS認証機能</b>

外部に専用の認証サーバーを用意する必要がなく、UNIVERGE IX-Rシリーズを認証サーバー、「UNIVERGE QX」シリーズを認証クライアントとして利用することで、IEEE 802.1X認証環境をシンプルに導入できる点も特長だ。さらに、本機能ではCA証明書の発行・管理までワンストップで対応可能であり、IEEE 802.1X認証導入時の大きなハードルとなりがちな証明書運用を大幅に簡素化できる。大規模な認証基盤を構築せずに、構築・運用の両面で負担を抑えられることから、情報システム担当者が少ない中小企業でも、専門知識に依存せず証明書認証を導入可能だ。初めてIEEE 802.1X認証の導入に取り組む企業にとっても、現実的な選択肢といえる。

UNIVERGE IX-RシリーズとNetMeisterは、高性能なネットワーク環境を提供するだけでなく、人手不足や運用負荷といった課題を解決する一助にもなってくれる。