HPEがパートナーに提供できる価値とは? 第1回

モビリティ時代の無線LAN提案
“差”を生むHPE Arubaの選択

顧客ニーズの変化への即応、そして、販売パートナーとのさらなる連携強化を目指して実施された分社化。その分社化によって体制が整った日本ヒューレット・パッカード(HPE)が提供する製品やサービスは、エンドユーザー、そして販売パートナーにどのような価値をもたらすのか。4回の連載で紐解く。

モバイルデバイスが当たり前のように利用される現在では、無線LAN環境の善し悪しが企業の生産性を大きく左右する。そのような市場環境において、「選ばれる提案」を実現するのがHPE Arubaの製品だ。

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無線LANに特化した技術開発

「そもそもArubaは、モビリティ時代の到来を予測して、2002年から無線LAN製品の技術開発に注力してきた企業です。技術力の高さ、その技術力を生かした製品開発には定評があります」---。モビリティ時代における無線LAN製品の提供において、HPE Arubaの優位性を語るのは、HPE Aruba事業統括本部 パートナー営業本部 本部長の門田法彦氏だ。有線ネットワークが他社製品で構築されているシステムにおいて、無線LANはあえてHPE Arubaの製品が選択される。そのようなケースが多々あることが、HPE Aruba製品の性能の高さを物語っているという。

 門田氏は企業のネットワーク市場の可能性については、次のように分析する。「調査会社によれば、国内の企業向けネットワーク機器市場は、2020年まで微増傾向が予測されています。しかし、モバイルデバイスの管理やセキュリティなどに関するモビリティ市場は急激な成長が見込まれています。今後は、モバイルデイバスとアプリケーションを快適に活用できるプラットフォームとしての無線LAN環境の構築が進んでいくでしょう」

 それでは、モバイルデバイスの活用が進むモビリティ時代のネットワークに求められる要件は何か。門田氏は次のように説明する。「多様なデバイスが管理下に入ることで、セキュリティやネットワークそのものの運用が複雑になりがちです。こうした状況では管理者に大きな負担がかかるばかりではなく、情報漏洩などのリスクも高まります。求められるのは、高い性能を備えつつ、セキュリティの強化と運用の簡易化を両立できる製品が採用されたプラットフォームです」

 そして、これらの環境を実現させるのが、「HPE Arubaの製品です」と門田氏は断言する。
 

HPE Aruba事業統括本部 パートナー営業本部 本部長 門田法彦氏

無線LANコントローラー機能内蔵で低価格

 HPE Arubaの製品について、HPE Aruba事業統括本部 システムズ・エンジニアリング本部 パートナー・システムズ・エンジニアリング部 部長の天野重敏氏は、「すごくいいものを持っています。まずはその良さを販売パートナーの皆さまに知っていただきたい」と語りかける。HPE Arubaの無線LANアクセスポイント(AP)シリーズの中には、無線LANコントローラー機能を内蔵しているAruba Instant AP(以下、IAP)製品がある。「IAPは、30から40台のAPを集中制御できる機能をAPに内蔵しているので、物理コントローラー製品を別途購入することなく、集中制御が可能になります。また、ライセンスなどの追加費用はなくとも、無線LANとして必要な機能である、電波の自動調整や負荷分散、アクセス制御、アプリケーションの可視化なども利用できます」(天野氏)

 IAPは、実際のアクセス環境でも高い性能を発揮することは実証済みだ。例えば学校などの教室で生徒全員が一斉に無線LAN APにアクセスするような状況においても、安定した通信を実現できる。「数十台のデバイスの通信を均等にする負荷分散機能で、APを利用する全員が安定した環境で通信できます。また、オフィスや工場などでは複数のAPを連動させて負荷分散したり、モバイルデバイスの利用ユーザーが移動しても快適な通信状況を作り出したりすることが可能です。Aruba本社Labでのレポートでは、連動させられるAPの数は最大128個、接続可能なクライアント数は最大2,000まで実証済みです」(天野氏)

 このような性能を保有しつつ、戦略的な価格で提供されているのもHPE Aruba製品の大きな魅力だ。オフィス、学校、小売店、倉庫、ホテル向けの製品「Aruba IAP-207」(802.11ac対応)は、税込み6万9,120円という低価格を実現させている。「多くの販売パートナーの皆さまに扱っていただけるような価格設定にしています。エンタープライズレベルの機能が搭載された製品として非常に訴求しやすい価格だと自負しています」(天野氏)

 Aruba IAP-207などBeacon機能が内蔵されている製品もある。それらの製品を活用すれば、スマートフォンの位置情報を利用したロケーションサービスの提供が可能になる。天野氏は、「例えば工場などで特定の場所に近づいた作業員に対して決められた情報を作業員のスマートフォンやタブレットに表示させるような仕組みが構築できるようになります」と説明する。このような仕組みは、小売店やショッピングモール、アミューズメント施設など、さまざまな場所におけるサービス提供に発展させられる。
 

HPE Aruba事業統括本部 システムズ・エンジニアリング本部 パートナー・システムズ・エンジニアリング部 部長 天野重敏氏

提案時の大きなアドバンテージに

 モビリティ時代のネットワーク環境に求められるのは、高性能な無線LAN APだけではない。接続されるデバイスの管理やセキュリティを確保できなければ不十分だと言えよう。その2点を実現するのが、HPE Arubaが提供する認証基盤となる「ClearPass」と、ネットワーク管理システム「AirWave」だ。

 HPE Aruba事業統括本部 パートナー営業本部 第一営業部 部長の辻田澄人氏は次のように説明する。「ClearPassはネットワークに接続されるモバイルデバイスに企業のセキュリティポリシーを適用させられる製品です。ネットワークに接続されているモバイルデバイスを把握し、企業のセキュリティポリシーに適応するデバイスだけアクセスを可能にします。AirWaveは、無線LAN APの電波状況や接続されているモバイルデバイスで利用されているアプリケーションの可視化などを実現します。ネットワークに接続されているすべてのデバイスの状態とパフォーマンスを常時監視できるため、ネットワーク運用の簡易化が可能になります」

 HPE Arubaが提供する無線LAN APやClearPass、AirWaveは、顧客へのモビリティ環境提案時の大きなアドバンテージになると辻田氏はアピールする。「今やモバイルデバイスがネットワークにつながるのは当たり前の時代です。その上で何ができるのか。当社の製品はその観点に立脚した販売パートナーさまの提案活動に大きく寄与します。当社の製品を提案していただければ、必ず大きな価値を生み出せるはずです」

 今後、HPE Arubaは、販売パートナーが同社製品をさらに売りやすくするために、新たなパートナープログラムやトレーニングを提供したり、同社製品の意見交換が可能なコミュニティを開設したりする予定だ。「企業のモビリティの世界を、販売パートナーさまとともに作り上げていける土壌を整備していきます」と辻田氏は展望を語る。
 

HPE Aruba事業統括本部 パートナー営業本部 第一営業部 部長 辻田澄人氏

(PC-Webzine 2017年3月号掲載記事より転載)

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