HPEがパートナーに提供できる価値とは? 第3回

ミッドレンジクラスの機能を搭載した
低価格スケーラブルストレージで攻める

顧客ニーズの変化への即応、そして、販売パートナーとのさらなる連携強化を目指して実施された分社化。その分社化によって体制が整った日本ヒューレット・パッカード(HPE)が提供する製品やサービスは、エンドユーザー、そして販売パートナーにどのような価値をもたらすのか。4回の連載で紐解く。

IoT時代に突入し、データの大量保存やリアルタイム処理のニーズが高まった。ストレージの位置づけが従来以上に重要になる中で、中小企業においても容量や性能を柔軟に拡張できるストレージ需要が加速している。そこでHPEは、スケーラブルでミッドレンジクラスの機能を搭載しつつも低価格を実現したエントリーストレージ「HPE StoreVirtual 3200」を提供している。

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次世代環境を見据えて スケーラブルとオールフラッシュを軸に製品戦略を展開

 IT環境の進化によって、ストレージに求められる要件が大きく変化している。HPE データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 エバンジェリストの高野 勝氏は、次のように説明する。

「二つの領域に変化が起こっています。一つは“データをためる領域”です。IoTの普及によって生み出されるデータの量が従来と比較して桁違いになっています。これらのデータはビッグデータとして収集して活用することに意味があるため、蓄積し続けなければなりません。こうした状況では、必然的に必要とされるストレージ容量が際限なく膨らんでいくのです」

「もう一つの変化は“データを使う領域”です。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの最新のテクノロジーに代表されるように、現在はリアルタイムな高速データ処理の要求が非常に高くなっています。そのため、ストレージにも優れた処理性能が求められているのです」

 これまでストレージと言えばシステムのパフォーマンスボトルネックになることが多く、どのようにしてストレージのパフォーマンスを向上させるかだけが主なポイントだった。しかし、このような変化に対応するため、ストレージ市場ではシステムに合わせて柔軟に拡張できる「スケーラブル」と、SSDを採用した「オールフラッシュ」の潮流が生じている。HPEは、「スケーラブルやオールフラッシュを軸にしたストレージ戦略を打ち立て、さまざまな顧客ニーズに応じた製品ラインアップを提供していきます」と高野氏は話す。

 また、サーバー市場で大きなシェアを獲得しているHPEは、ストレージの提供において、サーバーも含めたシステム全体の連携性を高められる点が強みとなる。「ストレージとサーバーなどは共通基盤で展開し、製品の管理が一元的に行えるようにする予定です。システム全体の統一性を高められるので、運用管理の負荷軽減も実現します」(高野氏)

HPE データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 エバンジェリスト 高野 勝 氏

エントリーストレージにスナップショット機能を搭載

「中小企業のシステム環境においても、激しいビジネス環境の変化に対応すべく、拡張性が高くスモールスタートが可能な、スケーラブルな製品が求められるようになっています」と解説するのは、HPE データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 第二営業統括本部 第二営業本部 本部長の前澤 悟氏だ。

 スケーラブルという観点では、SDS(Software Defined Storage)によって筐体を追加して性能を拡張させるスケールアウトと、筐体にドライブを追加して容量や性能を向上させるスケールアップが存在するが、「従来まではスケールアウトが可能なストレージ製品は価格が高かったのが課題でした」と前澤氏は指摘する。

HPE データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 第二営業統括本部 第二営業本部 本部長 前澤 悟 氏

 そこでHPEでは、税抜き99万円~という低価格でスケールアウトも可能なエントリーストレージ「HPE StoreVirtual 3200」を提供している。「クラウドサービスが普及しているのは、手軽に利用できて必要なときにリソースを自由に拡充できる利便性ゆえです。スケールアウトが可能なHPE StoreVirtual 3200は、そうしたクラウドのようなメリットをオンプレミスで享受できる製品です。スケールアップにも対応しているため、ニーズに合わせた柔軟な容量・性能拡張が実現します」(前澤氏)

 HPE StoreVirtual 3200の魅力は拡張性だけではない。エントリークラスの価格ながら、ミッドレンジクラスの製品に搭載されている機能が採用されているのだ。

 搭載されている機能の中でユーザーからの反応が最も良いのは「スナップショット」だ。データ保護の意識が高まる中、ストレージでスナップショットをとりたいというニーズが増えているからだ。「別売りのソフトウェアなどを利用しなくても、HPE StoreVirtual 3200自体でスナップショットがとれるため、確実性や信頼性の面で非常に安心です」と前澤氏。スナップショット機能以外にも、さまざまな機能が搭載されている。

 HPE StoreVirtual 3200には、HP ProLiantサーバーと同じような管理画面が用意されており、HP ProLiantサーバーの管理に慣れているユーザーならばすぐに運用できる。今後は、「Data Fabric」というコンセプトのもとに、同社のストレージ製品間やハイパーコンバージドシステム製品、コンポーザブルインフラストラクチャ製品とのシームレスなデータ連携によるデータの最適配置を、「ONEユーザーインターフェース、ONEアーキテクチャ」の思想で実現させていく。

継続的なビジネスが可能に

 高機能なエントリストレージとして訴求力が高いHPE StoreVirtual 3200の具体的な提案例として、HPE データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 第二営業統括本部 第二営業本部の深澤忠寿氏はVDI環境のストレージとしての活用を挙げる。

「例えば、現在はセキュリティ強靱化対策を実行するために、運用するクライアントが数十台程度の小規模な自治体でも、VDI環境を構築したいというニーズが増えてきました。これまでだと価格帯が見合わず、断念するケースが多かったのですが、そうしたケースにおいて、低価格で拡張性が高く豊富な機能を搭載したHPE StoreVirtual 3200は、最適なストレージであるとお勧めできます。もちろんVDIだけでなく、サーバーの仮想化基盤としての提案にも適しています」

 HPE StoreVirtual 3200が備えるスケールアウトやスケールアップ性能は、「販売パートナーのみなさまにとって、エンドユーザーに対する次のステップの提案が行いやすくなるという大きなメリットもあります」と深澤氏はアピールする。顧客のビジネスの成長に合わせて筐体やドライブの追加提案が可能なのだ。

 HPEのパートナーポータルサイトでは、手順書や構成資料などが提供されており、実機を使用した無償のハンズオントレーニングも受講可能だ。サーバーとのセット販売のキャンペーンや検証機も用意されている。「今後のIT環境にとってエントリークラスのスケーラブルストレージは不可欠な存在となるでしょう。その際、HPE StoreVirtual 3200は、販売パートナーのみなさまにとっても非常にハードルが低く、安心してご提案できる製品です。HPE StoreVirtual 3200の販売で、ビジネスを推進していただきたいですね」(深澤氏)

HPE データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 第二営業統括本部 第二営業本部 深澤 忠寿 氏

(PC-Webzine 2017年5月号掲載記事より転載)

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