HPEがパートナーに提供できる価値とは? 第4回

保守サービスのパッケージ化が大成功
障害を事前把握する“プロアクティブケア”

顧客ニーズの変化への即応、そして、販売パートナーとのさらなる連携強化を目指して実施された分社化。その分社化によって体制が整った日本ヒューレット・パッカード(HPE)が提供する製品やサービスは、エンドユーザー、そして販売パートナーにどのような価値をもたらすのか。4回の連載で紐解く。

HPEが提供する保守サービス「プロアクティブケア」の販売が好調だ。複雑化したIT環境において、障害が発生する前にプロアクティブにサポートする同サービスは、障害そのものを減らす活動を提供するだけでなくシステムの運用工数を大幅に軽減するため、エンドユーザーの保守サポートに対する意識を変えている。また、同サービスは販売しやすいようにパッケージ化されているため、販売パートナーにとっては、サーバーなどとのセット提案がしやすく、多くのビジネスチャンス獲得に結びついている。

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保守サービスを重視するユーザーが増加

「保守サービスも変化の時期を迎えています」---。製品販売時の付随的な存在として位置づけられていた保守サービスについて、見方そのものに変化が生じていると、HPE テクノロジーサポート営業統括本部 パートナー営業本部 本部長の加藤知子氏は指摘する。

 従来までは、「保守サービスは普通のもの」を要望するエンドユーザーが多く、販売パートナーにおいても、それほど保守サービスの販売への関心は高くなかったと加藤氏は話す。しかし、仮想化やIoT、クラウドなど新たなITプラットフォームが登場し、複雑化の一途を辿る情報システム部門の現場では、スタッフの工数の増加が顕在化してきている。そうした中で、システムの運用をサポートし人材不足を補ってくれる保守サービスへのニーズが高まっているというのだ。 「エンドユーザーにとって保守サービスの利用は、ITシステムの運用工数の削減につながります。実際、最近の調査では、製品の選定において保守サービスの内容を重視しているという割合が8割に達したという中堅・中小企業のアンケート調査もあります。そのため、販売パートナーの皆さまにとっては、適切な保守サービスの提案が大きなビジネスチャンスにつながるでしょう」(加藤氏)

 こうした中で販売が飛躍的に伸びているのがHPEの「プロアクティブケア」という保守サービスである。リモートサポートツールにより、システム障害時には問題の検出と診断を自動化できるだけでなく、システム障害の未然防止に活用可能な、システムヘルスチェックレポートやファームウェアの推奨レポートを提供する。

 予防保守を取り込んだ保守サービス自体は以前から存在していたが、認知度が低く、個別見積であったために販売パートナーは売りにくかった。そこで2013年にパッケージ化を敢行。販売パートナーが売りやすくなったことに加えて、先述したようにエンドユーザーの環境が変化し、新たな保守サービスニーズが醸成されてきたことで、販売が飛躍的に伸びている注目のサービスとなっている。

HPE テクノロジーサポート営業統括本部 パートナー営業本部 本部長 加藤知子氏

システムの運用工数を年に140時間削減

 売上規模が2015年から2016年で倍に成長したというプロアクティブケアの魅力はどこにあるのか。HPE テクノロジーサポート営業統括本部 パートナー営業本部 ビジネス推進部の齋藤裕美氏は、「安心の国内専用窓口」「運用工数の削減」「問題の発生自体を低減」の三つのポイントを挙げる。

「プロアクティブケアでは、国内の専用窓口でアドバンストソリューションセンターのエンジニアによる24時間365日のサポートを受けられます。標準のサポートサービスでは中国大連で専門知識を持ったエンジニアがサポートを行っていますが、プロアクティブケアで対応する国内のアドバンストソリューションセンターのエンジニアは、さらに技術レベルが高い精鋭が揃えられていて、問題解決時間の短縮を実現します」(齋藤氏)

 実際の運用面では、自動管理・自動通報の仕組みによって、管理者の運用工数を大幅に削減できる。HPEが提供しているサーバーやストレージなどのハードウェアから収集される大量のデータ分析から、保守対象製品の故障の予兆を検知して、故障する前にエンドユーザーに通知する。実際に故障してしまう前に対応できるため、システムダウンなどの回避が可能なのだ。「サーバーなどに標準で搭載されている保守ツールを使用しているため、特別なツールを別途用意する必要がありません。機器の構成から保守情報までをクラウド上の専用画面で確認できる点も、喜んでいただいています」(齋藤氏)

 機器の構成や状態はプロアクティブケアの窓口のエンジニアにも自動で送信されるため、何かトラブルが生じた際には細かい説明をしなくてもエンジニアが対応してくれる。また、販売パートナーがサポートの1次窓口をする場合でも、顧客の機器の状態やトラブル対応が迅速に行える利点がある。

 システム障害を未然に防止できるヘルスチェックとレポートもHPEから年に2回提供される。その内容の具体的な説明と、障害の予防提案をプロアクティブケアの窓口のエンジニアがしてくれるのだ。「これらのサポートによって、計画外のダウンタイムを最大77%削減でき、運用工数を年に140時間削減できるというIDCの調査結果も出ています」(齋藤氏)

 HPEでは、プロアクティブケアのような保守サービスに加えて、6年から8年までの長期保守サービスを提供しているので、サーバーやストレージ、ネットワーク機器の長期運用を希望するエンドユーザーには、HPE長期保守サービスも提案したいところだ。

HPE テクノロジーサポート営業統括本部 パートナー営業本部 ビジネス推進部 齋藤裕美氏

教育サービスもパッケージ化

 エンドユーザーをサポートしていく上では、エンドユーザーの知識獲得の支援と、販売パートナー自身の知識習得も欠かせない。そこでHPEは、そうした知識習得を支援するパッケージソリューションとして「教育サービス」を提供している。HPE テクノロジーサポート営業統括本部 パートナー営業本部 第一営業部 部長の海老名直俊氏は、「IT業界をリードするグローバル企業のメリットを最大限に生かして、当社のサーバー、ストレージ、クラウド/OpenStackなどの製品トレーニングから、ITIL/ITSM、CDCPといった認定資格取得向け研修トレーニングなど、1社研修まで含めて300コース以上を提供しています」と話す。

 HPEの教育サービスの特長は以下の三つ。

【1】ワールドワイドIT企業がプロデュースするカリキュラム
・ITテクニカルトレーニングに特化したコース体系
・IT業界標準認定試験とのタイアップコースを準備

【2】万全の受講生サポート体制
・インストラクターは現役のエンジニア、アーキテクトが担当
・認定試験は再試験が無料。合格するまで徹底サポート(一部のコースを除く)

【3】快適なトレーニング環境
・演習環境は1人1台以上でストレスレス
・トレーニング期間中 HPE本社食堂での昼食付(HPE本社開催のみ)
・フリーWi-Fi、プリンターを完備

「実機を使用したトレーニングが大変好評です。教育サービスの顧客満足度は80%を誇ります。『IT管理者に製品トレーニングを受講させたい』『今後HPE製品を販売していく予定だが、SEに製品トレーニングを受講させたい』『HPE製品を購入し顧客のシステム増強、更改を行う予定だが、構築作業は自社で行う予定なので、担当者に製品トレーニングを受講させたい』といったニーズに最適です」(海老名氏)

 中でも、データセンター関係者に必須の国際認定資格である「データセンター・プロフェッショナル認定(CDCP)」の教育コースはHPEだけが提供しており、JDCC(日本データセンター協会)によって推奨されているトレーニングとなる。「大手SIer、DC事業者の営業担当者やエンジニアを中心に、ユーザー企業の運用担当者まで、すでに2,500名以上が当社の教育コースを受講して資格を取得されています」と海老名氏はアピールする。

HPE テクノロジーサポート営業統括本部 パートナー営業本部 第一営業部 部長 海老名直俊氏

(PC-Webzine 2017年4月号掲載記事より転載)

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