VMware Live Cyber Recovery(旧VCDR)ご紹介Part1
-レガシーな災害対策と比べてみましょう-

VMware Cloud Disaster Recovery(VCDR)は、VMware Site Recovery Managerとともに新サービスVMware Live Recoveryに統合され、2024年3月19日より一般提供が開始されました。このうち、旧VCDRの部分を特にVMware Live Cyber Recoveryと呼びます。
VMware Live RecoveryおよびVMware Live Cyber Recoveryの詳細については、以下のメーカー情報をご覧ください。なお、これらサービスの仕様やデザインは、今後予告なく変更される場合がありますので、最新情報の確認をお願いいたします。
また、当コラムでは、VCDRの操作画面やアイコンをそのまま表示しています。ご了承ください。

皆さま、こんにちは。
VMware担当の石田です。

今回から3回にわたって、VMware Live Cyber Recovery (以後、Live Cyber Recovery) についてご紹介します。
Live Cyber Recoveryは、DRaaS (Disaster Recovery as a Service) と呼ばれるクラウドを活用した災害対策ソリューションです。
VMware vSphere上の仮想マシンを定期的にクラウドストレージへレプリケーションし、災害などによりその仮想環境が使用不可能となった場合に、VMware Cloud on AWSサービスによりクラウド上に構築されたSDDC (Software-Defined Data Center) に復旧する、というものです。

第1回は、レガシーな災害対策ソリューションと比較して、Live Cyber Recoveryの優れている点を見てみましょう。

データバックアップ・リストア構成

データバックアップ・リストア構成

古くから使われてきたもっとも単純なソリューションは、サーバー内のデータを、別に用意されたストレージにバックアップする方法です。定期的にバックアップを行い、ハードウェア・ソフトウェアの障害や災害の発生によりサーバー内のデータが失われた場合に、バックアップしていたデータをサーバーに復元します。
基本的には、サーバーと同じサイト内にバックアップ用ストレージを用意しますが、サイト全体が被災した場合に備えて、バックアップデータのコピーを遠隔地に転送・保管することも行われます。
必要最小限の設備で可能なソリューションであるためコスト的には有利ですが、障害や災害の状況によっては、サーバーの復旧に多大な時間が必要となり、その間業務を中断せざるを得なくなるため、代替手段を用意しなければなりません。

リカバリサイト構成

リカバリサイト構成

ふだん稼働している本番サイトとは別に、遠隔地にリカバリサイトを用意する方法です。
定期的にバックアップ(レプリケーション)を行う点は前者と同じですが、その転送先であるリカバリサイトは、単なるストレージではなく、本番サイトと同じ種類の設備を同じキャパシティだけ用意し、災害等の発生により本番サイトが使用できなくなった場合に、業務を引き継いで再開できるようにします。
業務に必要なリソースはすべて用意されているため、再開に必要な時間は短いですが、そのために必要なコストは本番サイトの倍になってしまいます。
なお、リカバリサイトは、オンプレミスで用意する以外に、クラウドに設けることも考えられます。

Live Cyber Recovery構成

Live Cyber Recovery構成

Live Cyber Recoveryは、前二者の欠点を補うべく開発されたソリューションであり、そのために、VMware Cloud on AWSの特徴を最大限利用したものです。
本番サイトが被災して運用できなくなった場合にリカバリサイトが業務を引き継ぐ点はリカバリサイト構成と同じですが、サーバーデータのバックアップ(レプリケーション)先は、リカバリサイトとは別に用意されたバックアップ用クラウドストレージです。いざ災害が本番サイトを襲ったら、SDDCをデプロイしリカバリサイトを構成した後、クラウドストレージから仮想マシンをリカバリし業務を再開させます。
SDDCのデプロイには数時間程度掛かりますが、データバックアップ・リストア構成に比べれば遥かに短い時間で業務を再開できる一方、リカバリサイト構成とは異なりSDDC維持のためのコストは発生しないため、両者の中間的特徴を持つ、バランスの取れた災害対策ソリューションと言えるでしょう。
なお、SDDCを常時展開しておくことで、業務再開に掛かる時間をさらに短縮することも可能です。

すべての本番サイトのリソースを単一のリカバリサイトで賄える場合や、複数の本番サイトが同時に使用不可能となることを考えなくていい場合を想定

また、複数の本番サイトで単一のリカバリサイトを共有することもできます。これは、すべての本番サイトのリソースを単一のリカバリサイトで賄える場合や、複数の本番サイトが同時に使用不可能となることを考えなくていい場合を想定しています。

まとめ

今回は、Live Cyber Recoveryを他の災害対策ソリューションと比べてみました。
その結果は次の通りです。

Live Cyber Recoveryを他の災害対策ソリューションと比べた結果

Live Cyber Recoveryがバランスの取れたソリューションであることがわかります。

次回は、Live Cyber Recoveryの構成と管理についてご紹介します。
それではお楽しみに!

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