HPワークステーションの売れ筋製品のニューモデル「HP Z2 G9 Workstationシリーズ」の最新動向とおすすめポイントを解説
HPワークステーションの中でもトップクラスの人気を誇るHP Z2シリーズ。その最新モデルのG9について、ワークステーションの最新動向やスペック面からの優位性を解説します。HP Z2 G9シリーズも今後安定供給が見込まれているので、市場からのニーズもますます高くなってくると思います。改めてこのモデルのおすすめポイントを再確認してください。
解説者
株式会社 日本HP
パーソナルシステムズ事業本部
ワークステーションビジネス本部
本部長 大橋 秀樹
コロナ禍を経てワークステーションの市場動向はどう変わったか
―コロナ禍前後でワークステーションのニーズもかなり変化したと伺いました。実際にどのような傾向がみられましたか?
コロナが世界的に流行する前は、圧倒的にデスクトップタイプのワークステーションが人気の中心でした。北米では2019年あたりからモバイルワークステーションの人気が高まっていましたが、日本では全体の1割程度に留まっていたのが実際のところでした。
コロナの流行が本格化したのは2020年からになると思いますが、コロナ禍を経て急激にモバイルワークステーションへのニーズが増え、日本では全体の3割、ワールドワイドではなんと5割の売り上げを占めるところまで伸びました。言うまでもありませんが、これは在宅ワークの採用によって必然的にノートタイプの製品へのニーズが高まったのが要因です。
世界と日本の違いはワークスタイルにあります。欧米ではそもそも自宅で作業するエンジニアやデザイナーが多く、加えてフリーランスという働き方も一般的だったため、モバイルワークステーションが受け入れられる下地が十分に出来上がっていました。日本では同じフロアでお互いの進捗を見ながら作業するといったスタイルでしたから、デスクトップタイプの採用が一般的です。
それがコロナ禍を受けて国内でも在宅ワークを採用する企業が増えたため、日本でもモバイル需要が高まりました。とはいえ、例えば建築業などではそもそも施工現場でCADデータを利用するケースも多く、一定のモバイル需要がありました。それがコロナ禍によってさらに伸びを見せたという背景もあったかと思います。
―なるほど、日本でも遅ればせながら欧米的なワークスタイルが浸透したという感じなのですね。
そうです。しかし一方で、2022年6月現在の話ですが、コロナはいったん収まりを見せている傾向があります。そうなってくると、今までの揺り戻しというか、オフィスで仕事をしたいというニーズが増えているのです。やはりチームでコミュニケーションをとりながら仕事がしたいというニーズが高まり、在宅ワークの経験を経て改めてそのスタイルの良さが見直されているということもあります。ですから、現在のように長期間コロナが収まっているような状況になり、再びデスクトップタイプのワークステーションが売り上げを伸ばし始めているのも日本らしいところだと思います。
HP Z2 G9 Workstationシリーズとはどのようなモデルか
―そのような背景を受けてデスクトップタイプのワークステーションへのニーズが高まっているとすると、これまで人気の中心だったHP Z2のニューモデルG9シリーズへの注目度も上がりますね。
そうですね。HP Z2 G9 シリーズの場合、革新的なハイブリッド・アーキテクチャーを採用したAlder Lakeこと第12世代インテル® Core™ プロセッサーを搭載したことで、ワークステーションとしてカバーできる範囲が広がったのが特徴だと思います。メモリの搭載量も多いですし、インテル® Core™ プロセッサーでありながら、ECCメモリも選択可能です。グラフィックスも3D CAD用途ではメインストリームになるNVIDIAR RTX A2000やハイエンドのNVIDIAR RTX A5000まで搭載できます。従来製品と比較し更なる性能向上と幅広い使用用途に応えるパフォーマンスを発揮するモデルになっています。
HP Z2 G9シリーズでは最もコンパクトな筐体のZ2 Mini G9では新たなデザインを採用しています。今までの8角形のデザインからスクエアに近い筐体を採用しています。またこのモデルはこれまで選択できるGPUがラップトップ用のMXMタイプのグラフィックスだったのですが、G9からはデスクトップ向けのグラフィックスが搭載できるようになりました。ですから、グラフィックスパワーに関してはミニ筐体ながらメインストリームのRTX A2000を搭載でき、かなりの底上げになっていると思います。
―すごいですね。あのコンパクトな筐体でその仕様であればかなりのパフォーマンスが期待できそうですね。パフォーマンスでいえばプロセッサーも気になりますが、なぜG9からインテル® Core™ プロセッサーが採用されることになったのですか?
第12世代インテル® Core™ プロセッサーから、大幅にパフォーマンスが向上してワークステーションで求められるパフォーマンスが出せる品質になっているということが大きいと思います。また、プロセッサーの中でもパフォーマンスがより高い、型番末尾でいう「K」モデルが搭載できる点もメリットが高いです。
インテルのワークステーション戦略としても、エントリ―クラスまでは第12世代インテル® Core™ プロセッサー、メインストリームにインテル® Xeon® Wプロセッサー、ハイエンドのエキスパートモデルにはサーバクラスのインテル® Xeon® スケーラブルプロセッサーが提供されています。ですから、ワークステーションのラインアップにおける住み分けがより明確になりましたね。
もともと、ワークステーションを使うような業種では、プロセッサーパワーをフルに引き出す処理が多かったと思います。例えば3D CADの世界ではシングルスレッドによる処理が中心ですが、インテルのプロセッサーはマルチコアであっても、1つのコアに電力を集中し低格以上にオーバークロックをしてシングルスレッドを効率よく高速で処理するためのターボブーストというテクノロジーを採用しています。この機能もより進化していて、最新モデルになるほど効率化が進んでいますが、逆にCADソフトでも解析の機能を搭載して設計者によるCAEを可能にする機能も強化されてきています。そうなってくると、マルチスレッドによる並列処理で高速化が可能になりますので、本来のマルチコアCPUの利点を活用できるようになってきています。
今回採用されている第12世代インテル® Core™ プロセッサーでは、高性能なPerformance-core(P-core)、高効率なEfficient-core(E-core)という2種類のコアが用意されていて、3D CADだけでなく、3D CG、画像処理、映像編集などのクリエイター向けの作業で効果を発揮するP-Core、大量な単純作業や行列計算を実行させるといった作業に向いたE-Coreを組み合わせることでマルチコアをより効率よく使いこなせるように進化させた設計がなされています。
第12世代インテル® Core™ プロセッサーに関しては世間の注目も高いので、ニュースもたくさん出ていますが、どの記事でも評価が非常に高いのが印象的です。HP社内でも各種のベンチマークを行っていますが、あらゆるテストで好成績を残しているので潜在能力は非常に高いといえます。HP Z2 G9シリーズに興味を持っていらっしゃる方々にとっても十分期待できるパフォーマンスが提供できると思います。
HP Z2 G9シリーズで失敗しない3つのモデルの使い分けは?
―HP Z2 G9シリーズにはMini、SFF、Towerと3つのモデルがありますが、どのように選べばよいか教えていただけますか?
プロセッサーに関してはすべて第12世代インテル® Core™ プロセッサーが選択できるのでどのモデルも共通です。ですから、どのモデルでもベースとなるパフォーマンスはしっかりしたものがご提供できます。
日本で一番人気のモデルはこれまでの傾向から省スペースモデルのSFFになります。日本特有の狭い机の上でも邪魔にならないサイズでありながら、M.2 SSDに加えてハードディスクドライブも2基搭載でき、RAIDを組むこともできます。グラフィックスもメインストリームのRTX A2000を搭載できます。まずはこのモデルを中心にして考えて、導入要件を足し算、引き算すればよいと思います。
例えば大容量メモリは不要でハードディスクも不要であれば、コンパクトモデルのMiniという選択肢も視野に入ります。逆に、大容量メモリやハイエンドのグラフィックが必要であればTowerをお選びいただければニーズが満たせます。せっかくの3タイプのモデルですから、要件にあった製品を選んでいただきたいですね。
―とても分かりやすいアドバイスをありがとうございます。最後に記事をご覧のパートナーのみなさまにメッセージをお願いします。
HP Z2 G9シリーズから採用になった第12世代インテル® Core™ プロセッサーはインテルとしても一押しのアーキテクチャです。私たちから見ても今までの世代交代からジャンプアップしているイメージがあるので期待感は大きいです。
ワークステーションは長く使い続けるお客様が大勢いらっしゃいますが、コロナ禍にあった2年間でリプレースがしたくてもできなかった状況があると思います。徐々にオフィスへ戻りつつある今のタイミングでHP Z2 G9シリーズをご提案いただければ、性能や安定性、拡張性のほか、ミニからタワーまでの幅広い選択肢で、お客様にもご納得いただけるご提案になると確信しています。様々な業種の方にデスクトップの利点を再発見いただく最適な製品として、安心してご提案いただけると思います。